「インターネットを安全に使いたい」「海外の動画コンテンツを視聴したい」
そんな時に活躍するのが「VPN(Virtual Private Network)」です。
VPNの利用者は年々増加していますが、「仕組みがよくわからない」「本当に必要なのか迷う」という声も多く聞かれます。
この記事では、VPNの基本的な仕組みやメリット・デメリットにくわえ、おすすめのVPNサービスを初心者の方にもわかりやすく解説します。
基本的なことをていねいに解説します!
VPNとは?
VPN(Virtual Private Network)は、インターネット上に作られる仮想的な専用通信網です。
通常のインターネット接続では、通信内容が第三者に見られる可能性があります。
しかし、VPNを使用すると通信が暗号化されるため、安全にインターネットを利用できます。
まずは、VPNの基本概念と仕組みをくわしく見ていきましょう。
VPNの基本概念
インターネットを使う時、私たちは通常、自宅やスマートフォンから直接ウェブサイトにアクセスしています。
これを道路に例えると、自宅から目的地まで一本道で移動するようなものです。
この方法では、どこに行ったのかだれでも簡単に分かってしまいます。
VPN(Virtual Private Network)は、この通信経路に安全なトンネルを作り出します。
まるで、地上の道路ではなく、プライベートな地下通路を通るようなものです。
このトンネルの中では通信内容が暗号化されるため、外部から中身を見ることができません。
VPNの仕組み
実際のVPNが動作する仕組みを、手紙を送る例で説明してみましょう。
つまり、VPNを利用すると以下の効果を得られるのです。
- 実際の差出人(利用者)の場所が分からなくなる
- 手紙の中身(通信内容)が見られない
- どこに手紙を送ったのか(アクセスしたサイト)が分かりにくくなる
VPNのメリット
VPNにはさまざまなメリットがありますが、ここでは代表的な3つのメリットを解説していきます。
セキュリティの向上
VPNの最大の利点は、インターネット通信のセキュリティを大幅に向上できることです。
特に公衆Wi-Fiを利用する際、通信内容が暗号化されるため、第三者による情報の盗み見や個人情報の漏洩を防げます。
これにより、カフェやホテルなどの公共の場所でも、オンラインバンキングやショッピングを安心して利用できるようになります。
地域制限の解除
VPNを使用することで、普段はアクセスできない海外の動画コンテンツを楽しむことが可能です。
例えば、NetflixやHuluなどの配信サービスでは、国によって視聴できるコンテンツが異なりますが、VPNを使用すれば、他の国で提供されているコンテンツにもアクセスできるのです。
また、海外旅行中でも、日本国内向けのコンテンツを通常通りに視聴できます。
プライバシーの保護
VPNはプライバシーの保護にも役立ち、例えば以下のような場面で効果があります。
つまり、ネット利用中の活動が他人に知られたり、個人情報が不必要に収集されたりするリスクを低減できるのです。
VPNを利用すれば、普段のネット利用がもっと安心・快適に!
VPNのデメリット
VPNは便利なツールですが、デメリットもあります。
ここでは代表的なデメリットを3つ解説します。
通信速度の低下
VPNは専用のサーバー経由でインターネットにアクセスする仕組みなので、通信速度が通常より低下します。
通常に比べて、20〜30%程度の速度低下が一般的です。
特に遠距離のサーバーを使用する場合、この影響は顕著になります。
例えば、日本からアメリカのサーバーを使用する場合、応答速度の遅延が大きくなる可能性があります。
ただし、NordVPNなどの有名なサービスは、独自のプロトコルを開発したり、サーバー数を多く設置するなどの対応で、高速かつ安定した通信速度を実現しています。
VPNサービスを適切に選びさえすれば、通信速度の低下は最小限に抑えられるので、安心してください。
コストがかかる
信頼できるVPNサービスを利用するには、月額500円〜2,000円程度の費用が必要なので、これをデメリットと捉える人もいるでしょう。
ただし、多くのサービスが長期契約での割引や、複数デバイスでの同時利用を可能にするプランを提供しています。
用途に応じて適切なプランを選択すれば、コストを抑えることが可能です。
ちなみに、無料のVPNサービスも存在しますが、通信速度が一般的に安定せず、使いづらいです。
また、通信ログなどを記録しているケースが多く、プライバシー保護の観点でもリスクを伴います。
安全面と使いやすさの面のどちらにおいても有料VPNサービスがおすすめだよ!
設定が必要
VPNを利用開始するには、アカウントの作成やアプリのインストール、接続設定などの初期設定が必要です。
特にスマートフォンやPCなど、複数のデバイスで利用する場合は、それぞれに個別の設定が必要になります。
ただし、主要なVPNサービスでは直感的な操作が可能なアプリを提供し、基本的な設定であれば数分程度で完了できます。
最初の初期設定だけでも十分利用できるから大丈夫!
おすすめのVPNサービス4選
ここからは、特におすすめのVPNサービスについて、具体的な特徴や料金プランをくわしく解説していきます。
VPNサービス | NordVPN | Surfshark | ExpressVPN | Proton VPN |
---|---|---|---|---|
月額料金(年契約時) | 570円 ~ 2,390円 | 288円 ~ 2,598円 | 約749円 ~ 約1,943円 | 約449円 ~ 約1,499円 |
同時接続数 | 10台 | 無制限 | 8台 | 10台 |
サーバー国数 | 111ヶ国 | 100ヶ国 | 105ヶ国 | 112ヶ国 |
サーバー数 | 6,800台以上 | 3,200台以上 | 3,000台以上 | 9,100台以上 |
無料プラン | なし | あり | ||
返金保証期間 | ノーログポリシー | |||
日本語サポート | 英語中心 | |||
キルスイッチ | ||||
ログ保持 | なし | |||
独自プロトコル | NordLynx | – | Lightway | – |
マルウェア対策 | ||||
広告ブロック |
NordVPN
NordVPNは業界最速とも評価されるVPNサービスです。
こちらで試した環境では、下り速度で400~500Mbpsを計測し、日本から遠い場所にある欧米のサーバーにつないでも快適でした。
接続先 | 上り速度 | 下り速度 | Ping値 |
---|---|---|---|
日本 | 500Mbps以上 | 500Mbps以上 | 13ms前後 |
北米 | 200Mbps以上 | 400Mbps以上 | 260ms前後 |
欧州 | 20Mbps以上 | 400Mbps以上 | 480ms前後 |
使いやすさも兼ね備え、インターネットの安全性を高めるだけでなく、海外の動画配信サービス利用にも最適な一押しのサービスです。
NordVPN の詳細は以下の記事でくわしく解説しているので参考にしてみてください。
Surfshark
SurfShark はコストパフォーマンスに優れたVPNサービスです。
同時接続可能なデバイス数に制限がないので、家族での利用や複数のデバイスを使う方におすすめします。
月額288円からと格安ががら、下り速度で300Mbps以上の通信速度を実現している点もポイントです。
接続先 | 上り速度 | 下り速度 | Ping値 |
---|---|---|---|
日本 | 350Mbps以上 | 500Mbps以上 | 13ms前後 |
北米 | 100Mbps以上 | 300Mbps以上 | 260ms前後 |
欧州 | 30Mbps以上 | 300Mbps以上 | 500ms前後 |
最新のWireGuardプロトコルに対応し、ダブルVPN機能もあるなどセキュリティ機能も充実しています。
価格の安さを重視するならSurfShark が一押しです。
SurfShark の詳細は、以下の記事でくわしく解説しているので、こちらもあわせて確認してみてください。
ExpressVPN
ExpressVPN は安定した速度にくわえ、信頼性の高いVPNサービスです。
独自開発のLightway®プロトコルにより、セキュリティを確保しながら高速な通信を実現している老舗のVPNサービス。
最高速度はNordVPN には及ばないものの、上り・下りともに安定した通信速度を実際に計測できました。
接続先 | 上り速度 | 下り速度 | Ping値 |
---|---|---|---|
日本 | 400Mbps以上 | 350Mbps以上 | 15ms前後 |
北米 | 230Mbps以上 | 300Mbps以上 | 260ms前後 |
欧州 | 90Mbps以上 | 250Mbps以上 | 500ms前後 |
ExpressVPN が初めて採用したRAM方式のサーバーが、物理的にもユーザーのプライバシーを保護するなど、セキュリティも万全です。
月額700円台からと他のサービスより料金は高めですが、信頼感や総合的なサービス品質の高さを求めるなら、ExpressVPN がおすすめです。
ExpressVPN をもっとくわしく知りたい人は、以下の記事を参考にしてみてください。
Proton VPN
ProtonVPNは、スイスを拠点とするプライバシー重視のVPNサービスです。
安全な無料プランを提供している点に特徴があり、有料プラン同様にノーログポリシーを採用するなど、情報漏えいリスクが低いです。
無料プランには珍しくデータ制限もないので、通信量を気にせず利用できます。
ただし、対応国は3ヶ国でサーバー設置台数も282台と限定的なうえ、接続先は自由に選べません。
本格的にVPNを利用するなら、112ヶ国・9,200台以上のサーバーに自由に接続可能な有料プランがおすすめです。
有料プランは無料プランより高速で、200~300Mbpsくらいの下り速度も期待できます。
接続先 | 上り速度 | 下り速度 | Ping値 |
---|---|---|---|
日本 | 400Mbps以上 | 400Mbps以上 | 13ms前後 |
北米 | 150Mbps以上 | 300Mbps以上 | 260ms前後 |
欧州 | 90Mbps以上 | 200Mbps以上 | 500ms前後 |
無料プランでひと通り試してから有料プランに切り替えるのもありでしょう。
Proton VPNの特徴や機能の詳細は以下の記事も参考にしてみてください。
VPNの主な用途
ここらは、VPNのおもな用途を3つの視点で見ていきましょう。
動画視聴での活用方法
Netflix、Huluなどの海外版コンテンツの視聴で、日本未配信の海外ドラマや映画を楽しめます。
YouTubeで特定の国でしか見られない動画も、VPNで対象国のサーバーに接続すれば視聴可能です。
さらに、日本と海外の為替差を利用し、海外の放送局が配信するスポーツ中継をより安価に視聴できる場合もあります。
オンラインゲームでの活用
適切なサーバーを選択するとping値(通信応答速度)が改善し、ラグを軽減できる場合があります。
日本以外の地域で実施されるクローズドβテストや先行プレイにも参加可能です。
さらに、セキュリティの側面でも効果的です。
例えばオンラインゲーム中の悪意あるユーザーの攻撃からIPアドレスを保護できます(DDoS攻撃からの保護など)。
その他の一般的な使用シーン
海外出張や海外旅行の際、現地での通信を暗号化し、日本のサービスにも安全にアクセスできます。
オンラインショッピングの場合、地域による価格差の確認や、特定地域限定の商品購入も可能です。
近年はリモートワークが多くなったので、会社のネットワークに安全にアクセスする際のツールとしても有効活用できます。
VPNに関してよくある質問と対処法
VPNサービスによくある質問と対処法を解説します。
VPNの利用は違法になる?
VPNの利用が違法になるかどうかは、居住国や滞在中の国の法律次第です。
日本や欧米諸国の多くでは、VPNを規制する法律はなく、犯罪で利用しない限り違法性を問われることはありません。
一方で、中国・ロシア・北朝鮮などインターネット自体の規制が強い国では、VPN自体の利用も禁止されているケースが多いので注意しましょう。
いずれにしても、居住国や滞在国で法的縛りがないかどうかを実際に確認するのがおすすめです。
VPNは完全に安全?
VPNが安全かどうかは、サービス内容によります。
特に無料VPNの場合はノーログポリシーではないサービスが多く、通信記録を一定期間記録していたり、不特定多数の運営者によってサーバーが設置されていたりするなど、セキュリティ面でのリスクが高いです。
サービスの運営元がだれにでもわかるように公開され、機能や料金体系にくわえ、セキュリティ監査の実績などを公にしているサービスであれば安全性が高いと判断できます。
例えば、本記事でおすすめしているVPNサービスであれば、運営元やサービス内容がしっかり公開されているので安心です。
VPNに接続できない
VPNに接続できない問題は、多くの場合、基本的なネットワーク接続や設定に関する問題が原因です。
まずは以下の手順で確認していきましょう。
- インターネット接続の確認
- VPNアプリの再起動
- 別のサーバーへの接続を試行
PC
やスマホの再起動
通常のインターネット接続ができているかを確認することが最初のステップです。
その上で、VPNアプリの再起動を試してみましょう。
それでも解決しない場合、選択しているサーバーが混雑している可能性があるので、別のサーバーへの接続を試みることをおすすめします。
これらの方法で解決せず、PCやスマホを再起動しても接続できない場合、VPNサービスの専用アプリを再インストールしてみましょう。
接続のオン/オフをやりすぎるとアプリがおかしくなることあるから、そのときはデバイスを再起動してみて!
VPNの接続が不安定で頻繁に切れる
接続が頻繁に切れる問題は、スマートフォンの省電力設定やネットワーク環境に起因することが多いです。
以下の手順で改善するか試してみてください。
- バッテリー最適化設定の確認
- より安定したネットワークへの接続
- VPNプロトコルの変更
特にスマートフォンでは、バッテリー節約のため、VPNアプリの動作が制限されることがあります。
バッテリー最適化の設定からVPNアプリを除外することで、多くの場合、接続の安定性が改善されます。
また、Wi-Fi環境が不安定な場合は、4G/5G回線に切り替えることで改善される場合もあります。
VPNを使用すると通信速度が極端に遅い
VPNを使用すると、ある程度の速度低下は避けられませんが、極端な遅さを感じる場合は改善の余地があります。
以下を試してみてください。
- より近いサーバーを選択
- 他のアプリケーションを終了
- VPNの設定を最適化
VPNサーバーまでの距離が速度に大きく影響します。
例えば、日本国内のサイト閲覧であれば、アジア圏内のサーバーを選択することで、大幅な速度改善を期待できます。
また、スプリットトンネリング機能を使用し、VPNを必要とするアプリケーションのみを経由させる設定に変更すれば、全体的な通信速度を改善できます。
VPNを解除できない/オフにできない
VPNの解除ができない場合は、OSレベルでの設定が影響している可能性があるので、以下を試してみてください。
- VPNアプリの強制終了
- PC・スマホ・タブレットなどデバイスの再起動
- VPNアプリの再インストール
この問題は、VPNサーバーへの接続が正しく解除されていない状態で発生することが多いです。
VPNアプリの再インストールをしても解決できない場合、VPNサービスのサポートに連絡することをおすすめします。
NordVPNなどの有名なサービスでは、24時間体制の日本語サポートを提供しているので、専門的なアドバイスを受けられます。
Windowsなら、サポートに連絡する前に、トラブルシューティングツールを試すのもありだよ!
VPNをオフにする方法は、こちらの記事でさらにくわしく解説しています。
まとめ
本記事では、VPNの基本的な仕組みから主要なVPNサービスの特徴まで、くわしく解説してきました。
VPNは、インターネットの安全性を高めるので、今の時代には欠かせないツールの1つです。
ただし、通信速度の安定化や海外限定サービスの利用など活用範囲が幅広いので、日常的にも便利なツールといえます。
今回紹介した4つのVPNサービスは、それぞれに特徴があるため、目的や用途に応じて選んでみてください。
サービス名 | 月額料金 | おすすめポイント | こんな人におすすめ |
---|---|---|---|
NordVPN | 570円 ~ 2,390円 | ・通信が高速 ・使い方が簡単 ・安全性が高い | 高速通信でインターネットを安全・快適に使いたい人 |
SurfShark | 288円 ~ 2,598円 | ・料金が安い ・同時接続台数の制限なし ・設定が簡単 | VPNを家族みんなで使いたい人 |
ExpressVPN | 約749円 ~ 約1,943円 | ・日本語対応が充実 ・設定が簡単 ・通信、アプリともに安定して使いやすい | 信頼性と安定性を重視したい人 |
Proton VPN | 約449円 ~ 約1,499円 | ・無料版がある ・安全性が高い ・無料と有料どちらのプランでも広告がない | まずは無料でVPNを試してみたい人 |
多くのVPNサービスは30日間の返金保証を提供しているので、実際に試してみることをおすすめします。
この機会に、ぜひ自分に合ったVPNサービスを見つけ、安全かつ快適なインターネット生活を手に入れましょう。
すぐに使い方がわかるサービスばかりだから大丈夫!
コメント